蒼空市場様の訃報を受けて

January 8, 2019

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

里倉蒼様の偉大なる著作【Scarlet×Scarlet】

2007年11月発行 

 

御無沙汰しております。赤城のくです。

 

本来であれば新年の挨拶がここに綴られるべきなのでしょうが、標記の訃報を受けてTwitterのみでは気持ちの整理ができず、未明から文章を打ち込むに至りました。

 

長くお付き合いしてる方は既知のことと存じますが、私は学生時代よりこの蒼空市場様の一ファンであり、同人創作を始め、東方で固定キャラクターを好きになった起源でもあります。

 

あの方の情報は私も直接的な関わりがあったわけでもないので、多くを知ることはありません。

 

以下は、私のこれまでの経緯になります。いずれ想起することがあれば。

 

 

 

12年前ですから、あれは2007年の私が高校一年だった頃です。

中学まで周囲にもてはやされて学問にリーダーにあけくれていた私でしたが、男子校への進学でそれらのアイデンティティをすべて否定され、また恥ずかしながら暴行や塩撒きなどの虐めに遭っていました。

 

友人も僅かでしたが、そのうちの一人の友人が東方Projectを教えてくれました。

竹取物語などの史実を仮想歴史に溶かし込んだ設定は興味深く、すぐに関心を寄せていきました。

当初は個人サイトの文章や当時人気を博した東方のケータイアプリで理解を深めていっていました。

 

その一方で、次第に学校生活が過酷になり塞ぎ込むようになってしまった私は、その間の娯楽がケータイ経由で見ることのできる情報やアプリゲームしかなくなってしまいました。(当時PC未所持)

その中で、同人誌と呼ばれる「東方の漫画」が同人ショップに行けば買えると知り、微々たる小遣いを片手に県内唯一のメロンブックスを目指して列車に揺られました。

 

メロブの第一印象は、もう大人のテーマパークです(笑)

でも、そこに夢があるのならと狭い店舗と恰幅の良い目上のオタクさん達を掻き分けて東方コーナーに行きました。

そのとき出会ったのが、この同人誌。

【Scarlet×Scarlet】だったと記憶しています。

 

それは無知だった当時の私には誰が誰かすらも分からない作品でしたが、惹かれるものでした。

だって、まるでこの表紙絵と紙の質感。

この二人を尊び、崇めるための聖書のように感ぜられたからです。

如何に形容しましょうか。このうら悲しさ漂う作品を。

二人の異形、スカーレット姉妹が愛し信頼を寄せた者達は人間で、この物語は既に舞台となる時系列から逸脱した世界。浦島太郎のような感覚。

事実を受け止められないフランと、自らを律して自制を保とうとするレミリアの姿。

そして、傷つきながらも互いに寄り添い生きることを描くラスト。

素敵な世界観でした。東方とはこんなにも深いお話なのかと。

 

その舞台が紅魔館だと認識し、ニコ動や個人サイトでキャラへの理解を深めていくと、上記のような感情は日に日に増していきました。

そして、生涯をレミリアに付き添い従事した美人、十六夜咲夜を好き好むようになりました。

高校二年の頃になると、メロンブックスへの買い物は休日の日課になっており、きまって蒼空市場さんの同人誌を買い漁るようになりました。

新刊も既刊も見分けのつかない頃でしたから、手当たり次第買っていたように思います。

そこで、魔理沙とフランがよく接触する氏の作品を見て、自ずと私の中で魔理沙も紅魔館と紐付けられるようになっていきました。

また、日々ネットで情報収集をし、学校内で知人からコミケなるものの存在を聞かされると、

「自分にも、創作はできるのではないか」と思うようになっていきました。

ここで絵を志しましたが、日進月歩とはならず挫折し、不得意ながらSSを書き始めるようになります。

ギャグやエロもたくさん書きましたが、やっぱり憧れるのは【Scarlet×Scarlet】のようなシリアス。

いずれ、そんな作品が書けるようになれればと思っていました。

 

東京の大学に進学した私は、新生活よりも同人活動の開始を急ぎました。

高校の友人を集めてはじめての作品を作ってみたものの、各々の長所を活かそうとする思いとは裏腹に、なかなか作品そのものが出来上がりません。

まず、作家に知人が皆無であり、本がどうやってできるかも分からないのですから、作風云々なんてものは論外。ましてや、初めての即売会で読まれることすら夢のまた夢でした。

 

二度目のコミケ。2010年の冬の日。

蒼空市場さんが新刊【妖怪と鬼の境界上巻】を頒布します。

当時、なんとかして紅魔館のシリアスを描きたいと思っていた私にとって、その【Scarlet×Scarlet】の逆、起源を辿る作品はなんとも刺激的でした。

特に、美鈴を主体として動いていく内容は、当時フランス租界を調べていた身としても大枠で共感できる部分が多く、そして、その繊細な描写のストーリーに惹かれていきました。

翌年の【下巻】を読み終えた私は、それをなんとかして形にしたいと思い始め、ここから当サークルの『クロノスタシス』のプロットを勘案するようになります。

 

しかし、私の無茶振りに苦心していた友人達は共感できないシリアスに首を縦に振るわけもなく。

漫画という形での旧サークルの創作はこの辺りでフェードアウトしていくのです。

そして、案を出しても固まらない手前、小説としても形ができないことに苦心すること二年。

 

前進となる『形而上のクロノスタシス』は頒布されました。

蒼さんの作品に負けないようにと、世界観を一から練り込み、独創し、自身としても初の二段構成100頁超えの作品は出来上がりました。

ですが、この本はまったくと言っていいほど読まれず、タダ配りという形で一度はお蔵入りしてしまいます。

 

過程で旧サークルは崩壊し、私も社会人になりました。

クロノのことは忘れて、読み切り本を作ってみたものの縁も皆無となった2014年の一年は絶望的でした。

 

翌2015年。

春の例大祭のサークル申し込み。

新刊は何にするか、一人で悩んでいると「やっぱり素人にあんな偉大な作品は書けなかったんだ」と悪魔の囁きがあったことを思い出します。

それでも諦めたくなく、これを最初で最後にしようという覚悟で選択したのが「クロノスタシスのリメイク」でした。

 

(当時あれだけ頑張って作った世界観。誰かが読んでくれれば、絶対に面白いと言ってくれるはず!)

そう思って、自身としてもかなり無理をやり前作に大幅加筆を込めた300頁という大作は生まれました。

ここで今まで触れもしなかった秘封倶楽部と、憧れの顕現霧雨魔理沙が当サークルで初めて登場します。

この作品内での魔理沙の苦悩と葛藤は、蒼空市場さんが作品の都度都度で匂わせていたものを自分なりにイメージして綴ったものでした。

 

これこそが奇跡のはじまりで、この年の例大祭「知らない人が本を買う」という、そして他人譲渡のない完売をRealista Libroははじめて経験するのです。

 

秋に作った『姉妹愛執』は若干【Scarlet×Scarlet】をイメージして創った記憶があります。

 

そして、2016年。

過労で危篤の騒ぎを起こしつつ、杖をついて仕上げた作品。

長年の憂いを形にしたクロノスタシス続編『Francia colonial,1884上巻』は生まれたのです。

それは、私が経験することなど予想だにしなかった未来。

ファンタジーと史実、シリアス、バトルが交錯する世界観。

美鈴と歴史を渡り歩いたレミリア達が邂逅するシナリオ。

まさに、憧れた蒼空市場様の創造世界でした。

 

それからの経緯は端折りますが、

2017年にFrancia下巻が終わり、同年にパチュリーのスピンオフ作品を出し終えました。

そして、昨年からはこのクロノスタシスシリーズを基軸とした新シリーズ、Fantastic Maidensが頒布され皆様のお手元にあるというわけです。

 

この新シリーズの結末は私の脳内では出来上がっており、互いに不和を認めあったレミリアとフランが手を取り抱き合うのです。

それは、あの蒼空市場様が描いた最後の一頁のように美しく、神話のようになる。

そのためにも、私はFantastic Maidensを描き続けます。

 

 

すべては【Scarlet×Scarlet】から始まった行動でした。

私の人生を救ってくれた作品であり、かの御人は多くの東方ファンを魅了した御方でした。

 

この場でも感謝を捧げ、冥界での清福を祈念したく思います。

「里倉蒼様、本当にありがとうございました。」

 

2019-01-09 Realista Libro 主宰 赤城のく

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